Kiyublog

このブログでは私自身の旅行記(長期連休が終わると投稿します)や関東甲信越地方の鉄道機関、空想都市についての記事をアップしてます。

ミニ新幹線がいらない理由

皆さん、こんにちは。きゆ/Kiyuです。

今回は、日本で2路線しかない、「ミニ新幹線」について解説していきます。まず言うと、私はミニ新幹線を作るべきでないと感じます。

鉄道ファンの方なら、ミニ新幹線がどんなものかご存知だと思いますが、鉄道について詳しくない人にも、分かりやすいように、普通の新幹線とどんなところが違うのかを紹介できたらと思います。

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目次

 

ミニ新幹線とは?

まず、日本にはどんな新幹線路線があるか確認しましょう。1964年のオリンピック時に初めて開業した東海道新幹線をはじめ、山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸・九州・北海道新幹線の順に、線路網は半世紀以上かけて徐々に東西南北へと伸びていきました。現在では、JR東日本・北海道・東海・西日本・九州の5つの事業者によって、9路線が運行されています。この中でミニ新幹線はどれか。

山形新幹線秋田新幹線です。皆さんも一度は新幹線に乗車されたことがあると思いますが、乗車した時を想像してください。トンネルや高架線が多く、窓から流れる景色を一つ高いところから見下ろす区間が多いと思います。新幹線の一番の特徴として、道路や他の鉄道路線と、線路が直接接触することがないので、衝突事故の心配が無くなりますね?こういうことで、在来線を遥かに超える高速運転が実現出来るのです。しかし、ミニ新幹線は違います。山形新幹線秋田新幹線の線内では、踏切があります。そのため、新幹線の車両が自動車の走行を踏切で止めることもありますし、最悪衝突事故を起こすことだってあります。なぜ踏切があるのでしょうか。それは、この二つの路線が、在来線の線路を走行してるからです。他の新幹線は、在来線とは別に、線路を建設してトンネルを掘って……のようなことをやってますが、在来線の線路を走行しているため、工事といえば、トンネルの改良・車両が通行できるように線路の改良を施すぐらい。工事の内容も全然違います。

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特徴

ミニ新幹線の特徴を見ていきましょう。

 

メリット

①工事日数・建設費を削減できる

在来線の線路に新幹線を通すので、新たに線路を敷く必要もそのために用地を取得することもありません。一番労力がかかるであろう作業があるとするなら、線路幅の変更です。在来線と新幹線は線路幅(二本のレールの幅)が違います。新幹線は1435mm(標準軌)、在来線(1067mm)です。在来線規格の山形新幹線秋田新幹線の車両は、東北新幹線に直通するために、東北新幹線の線路幅である、標準軌に合わせる必要があります。そのため、開業前の1,2年間、在来線の奥羽本線(山形・秋田)と、田沢湖線(秋田)の新幹線が走行する区間を完全に運休にして、線路幅変更(改軌)を行います。JRの在来線はほとんどが、狭軌(1067mm)の路線ですが、この奥羽本線の福島ー新庄間・大曲ー秋田間と、田沢湖線の盛岡ー大曲間では、新幹線走行のため、標準軌(1435mm)となっています。

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並行在来線問題が発生しない

そもそも問題について詳細に説明する必要がありますがこれは、新幹線が開業した時に並行して走ってる在来線を誰が運営するのかという問題のことです。例外がありますが、北陸・北海道・東北(一部)・九州(一部)新幹線では、開業によって、輸送量が落ちる在来線の経営権をJRから自治体に移しています。ここで自治体とJRが路線開業の度に、問題が発生します。しかし、山形新幹線秋田新幹線は混乱を防ぐために、「新幹線」と名乗ってるだけで、本当は在来線特急です。在来線の線路を走っているのだから。簡単に言えば、「東北新幹線に直通する新幹線と名乗ってる特急列車」のような扱いです。JR東日本奥羽本線田沢湖線に、特急を走らせてるのだから手羽してはいけません。新幹線の特急料金は割高ですが、山形・秋田新幹線では、もちろん在来線の特急料金が徴収されます。

 

③運行時間が自由

フル規格で開業した新幹線は、高速運転をするため、騒音も大きいなどの理由で、深夜の0時から早朝の6時までは、原則として旅客運行が禁じられています。しかし、在来線特急扱いのミニ新幹線は、0時を超えたり6時より前に発車するダイヤを設定することもできます。

 

デメリット

①所要時間短縮の効果が薄い

新幹線の最大の沿線にもたらす効果は、所要時間の短縮です。今までは、東京から何時間もかけて夜行列車に乗って一晩かかってた、地域までも新幹線ができれば、日帰り旅行まで可能にもなりますからね。しかし、ミニ新幹線は、所要時間短縮という効果が薄いです。フル規格で開業した新幹線は、今まで在来線特急の最高速度だった早さを遥かに超えてますから、所要時間も大幅に短縮されます。しかし、ミニ新幹線は、在来線の線路を走行しています。新幹線よりカーブが急で、踏切もあるように、高速運転ができる環境が準備されていませんから、最高速度は130km/hに抑えられてます。山形・秋田新幹線が開業する前に走ってた特急つばさ号と、特急たざわ号も最高速度がこれより10km遅い120km/hですから、短縮されない要因は一目瞭然です。

 

②輸送力が小さい

ミニ新幹線は輸送力が小さいです。新幹線と在来線車両では、車体の長さも違います。新幹線車両の長さが25mなのに対して、在来線車両は16~23mです。新幹線はカーブが緩いので、一両当たりが長くても、曲がることはできるのですが、在来線は新幹線よりかはカーブの基準値が小さいため、長い車両では曲がりきれず、小さくする必要があります。ミニ新幹線車両も、在来線区間への進入を考慮して、一両の車体長さが20mとなっています。こうなると、おのずと座席数も減少するため、輸送力が小さくなります。

 

③在来線の運行区間の縮小をせざるを得ない

一例を上げると、いま山形新幹線が運行されてる奥羽本線の福島ー新庄間は、元々上野や郡山、秋田や青森からも列車が往来していましたが、この区間の線路幅を標準軌に変えた結果、他の区間と線路幅が違うことになったため、直通運転を行えなくなりました。例外を除いて、奥羽本線の運行形態は、福島ー新庄間と新庄ー青森間で分断されてます。

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なぜ作らない方がいいのか

ミニ新幹線の特徴を紹介してから、気付いた方もいると思いますが、持ってるメリットによる効果があまり大きくないから。運行時間に制限が無いのも、並行在来線問題が発生しないのも、効果が大きいとは思いません。第三セクターに移管したら必ず毎年赤字を出し続けるとは限らないし、遅延して、運行が0時以降に続いても、減速して走行したりすれば、だいたいは翌朝の運用を元どおりできます。

建設費が安くしてまで、ミニ新幹線を作る価値は無いんじゃないかと思います。最高速度が10km/h上がった特急列車が、新幹線に直通してる感覚なんですから。

 

どうすればいいのか

計画があって今後開業させる新幹線はフル規格で開業させること。いまさら山形新幹線秋田新幹線の全線にわたって、新線を建設することはないと思いますが、山形県板谷峠秋田新幹線田沢湖周辺だけでも、新幹線車両用の線路を建設する計画があるようです。この区間は両路線にとって、一番積雪量が多い峠超えをする、遅延の原因にもなりやすい区間なので、新線建設には、私として賛成です。

ここから10年間でも、九州新幹線の長崎ー武雄温泉間や、北陸新幹線敦賀延伸、北海道新幹線新函館北斗ー札幌間の開業が控えています。いずれも全て、フル規格で新たに新線を建設する形での開業が決定していますが、武雄温泉ー九州新幹線鹿児島ルートに合流するまでの区間は当面の間、特急列車を運行することが決定しています。

 

さいごに

新幹線が開業することは、今までより所要時間の短縮、旅行がしやすい地域になったのならば、人口の多い都市圏から人が押し寄せるほど経済効果も高まる出来事です。うろ覚えですが、東京ー山形間の所要時間は、福島で東北新幹線から特急つばさ号に乗り換えたときと、山形新幹線つばさ号で山形まで直行するので、ほとんど移動時間が変わってないという記事を見たことがあります。在来線を長い間運休してまで工事して、作ったのにほとんど変わってないのはもったいないですよね。今は線路の軌間を変更する機器の大部分を海外(タイ国鉄?)に売ってしまったので簡単にミニ新幹線を建設することは不可能ですが、新幹線とミニ新幹線の合理性を見ながら、計画を進めていって欲しいです。ありがとうございました。

 

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画像

旧塗装のE3系

新幹線E3系電車大宮で撮影
日付ー2011年4月16日
ソースー自身の仕事
著者ーRsaさん

 

 

 

 

新塗装のE3系→新幹線E3系山形新幹線用)・E2系
日付ー 2014年5月17日
ソースー自身の仕事
著者ーRsaさん