首都圏では、急激な少子高齢化が進行するのを逆らうように、人口増加が続いています。
鉄道会社の利用客も増加傾向で、JR東日本は過去最高の売上高を更新しました。
建設費の借金がある場合を除いて、首都圏の路線や鉄道会社は、だいたい黒字経営を達成してますが、
その中でも路線別で見た場合に、利益を出しやすい路線の特徴を今回は見ていきます。
✅この記事の主な内容→利益率が高いのはどんな路線なのか
✅本記事を読むメリット→鉄道経営の利益が出る仕組みに触れるため、鉄道事業の経営学について勉強したい方は、おすすめです。
✅本記事の読者→鉄道経営の「基本」を知りたい方
目次
営業係数
この記事では、主に営業係数を基準に、判断するようなことが多いと思いますが、まず営業係数とは、「100円を稼ぐのにいくら費用がかかるのか」を表した数値です。
もし、営業係数が「75」ならば、100円を稼ぐのに75円の費用がかかり、残りの25円が利益となるわけです。
100以下ならば、「黒字」
100以上なら、「赤字」
となります。ただし、営業係数の計算の基となる数字は、営業収益なのか営業外収益や特別利益も含めるのかで、大きく異なるので、特に計算するための細かい公式は存在しません。(100÷売上×費用で計算)
今回は、路線別の営業係数を比較するのですが、鉄道会社は決算報告書はもちろんホームページに掲載しますが、路線別の損益は非公開となっているので、私が試算した数値が多くなりますので、一部誤りがあります。
データが比較的出揃ってる、2014年の経営状況を基準に見ていきたいと思います。
利益を上げやすい首都圏の路線(大手私鉄)TOP3
京王井の頭線 係数63
東京メトロ銀座線 係数52
このような路線が営業係数が低いものです。
この路線の共通点が真っ先に思いついた方もいるでしょうが、もちろん題目の通り3つをしっかりと紹介します。
①利用客が多い
これは当然のことです。そもそも、利用客が多くないと、売上も伸びないので利益は出ないから。
銀座線は1日の平均利用客が100万人を超えてるし、井の頭線も渋谷単独で35万人の利用客がいます。
京急空港線は、京急全線の収益のうち、15%近い売上を空港線が上げてるうえ、
外国人観光客の増加で、利用客もうなぎのぼりの増え方です。
②短距離乗車
次に挙げられのは、多くの客の乗車区間が、2駅や3駅の大変短いことです。
なぜこれが、利益を上げやすいことに直結するのか説明します。
鉄道会社の多くは、上がり幅に関係なく、乗車区間(距離)が長くなればなるほど、1km当たりの運賃が安くなっています。運賃表のを例に
1km:120円 2~3km:160円 4~6km 190円 7~10km 210円 11~14km 220円
これを見れば分かるように、最初は1km:120円ですが、次はもし2kmの区間で乗車をした場合、1km当たりの運賃は80円、4kmなら47円、7kmなら30円、11kmなら20円と、1km乗るのにかかる費用どんどん下がっていきます。
割合から見れば、利用者は得をするのですが、事業者は、1km当たりが高い、短距離乗車をする客が多いほど、儲かるのです。
利益が出しやすい路線は、このように短距離乗車した場合の仕組みが働いているので、特徴の一つになります。
③乗り換え路線の数
短い距離の中に、利用の多い乗り換え路線を持った駅がひしめき合っていれば、他の路線→利益を出しやすい路線→他の路線
のような乗車をする利用客も沢山います。
他の路線の乗車区間は関係ないですが、利益を出しやすい路線は、これも乗車区間が短いため、さっきの②で紹介した運賃設定に影響されて、利益を出すことができます。
この3路線のうち、空港線は本線ぐらいしか乗り換え路線がありませんが、
井の頭線は13kmの間に、北から中央線・京王線・小田急線・渋谷に行けば地下鉄3路線と東横線や田園都市線、山手線、埼京線などがあるため、京王→明大前→井の頭線→下北沢→小田急という行程のルートで乗る人も多いと思います。
銀座線も19駅中13駅が、乗り換え路線で、しかも1駅当たりの乗り換え路線も非常に多いため、こちらも井の頭線のような乗車パターンを持った人がいることでしょう。
さいごに
どんな鉄道路線が、利益を出しやすいかは、国ごとに違います。遠い距離間を乗車するほど運賃は上がりますが、日本のように距離別ではなく、ゾーン別に分けて運賃を計算してる国もあるため、それぞれの路線の収益を試算して、どんな路線が利益を出しやすいか見てみるのも面白いかもしれません。今回は会計学や経営学の内容が混じった、記事になりましたが、これからは鉄道会社の決算報告書を基にしたネタも投稿できたらと思っていますので、お楽しみに。
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